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M-1グランプリ2015・決勝感想 ~史上最高のファーストラウンド・史上最低の最終決戦~

12/6に放送されたM-1グランプリ2015
優勝はトレンディエンジェルとなりました。

先日「速報」としてお送りしましたが、今回はネタの考察なども交えつつ感想を綴っていこうと思います。


●放送日時
2015年12月6日 18:30-21:00

以前のM-1が2時間番組だったので、30分の増加。
その分は全てこれまでの歴史紹介に使われていました。これがかなり厳粛な空気をあおっています。
確かにこれが無かったら去年までのTHE MANZAIと同じように軽いノリで見られてた可能性はありますが、ここまで長々と紹介する必要はなかったような気がします。
前の週の日曜昼間に同じような内容で2時間特番組んでたので、それを見た人にとっては退屈な時間。

ちなみに今回からは地上波で敗者復活戦が事前番組(14:30-16:30)として放送されています。準決勝敗退の20組がネタを披露し、視聴者投票(ネット)で敗者復活枠を決定するシステムでした。

司会は今田耕司・上戸彩。上戸彩は産休明けの初仕事となり、ABCの気合が伝わります。
時々レポーターに出てくるビクトリアことヒロド歩美アナウンサーについ笑ってしまうんですよね。私だけだと思いますが。

審査員は歴代王者(アンタッチャブル除く)のコンビどちらか1人の合計9人。
先日のキングオブコントや以前のM-1とは違い、現役で漫才をしている人が審査をするという形は本来望ましいものなのですが、やはり審査の重圧を感じていたのか点数がインフレ気味・勢い重視の採点だったのは若干残念でしたね。

●ファーストラウンド
決勝進出8組+敗者復活1組の9組がネタ披露。
審査員1人100点×9=900点満点の審査。

ここからは1組ずつネタの感想を。タイトルは適当に付けさせていただきました。

1.メイプル超合金 結果→796点・7位

「犬が飼いたい」
いやー。凄かった。これはこれまでの各種賞レース番組の中でも最高のトップバッター。
3年目とは思えない仕上がり。まさにダークホースですね。
トップバッターの重たい空気を濃い見た目のキャラで吹き飛ばし、女の方(安藤なつ)がボケかと思ったら男(カズレーザー)がボケるという視聴者の意表を突くスタートで無名ながらお客さんをガッツリ掴んでいました。
ネタは非常にシンプルながら、「平均体重引上げ大臣」「お湯の煮込み」「西の芸人は芸歴にうるさい」「駆け出しのプリキュア」「Wi-Fiが見える」などボケのワードセンスが光っていましたね。
「犬の話しつこいなぁ」というボケを度々差し込むことで、同じ話を長いこと続けている違和感を上手に打ち消していたことも印象的。
残念だったのは最後噛んでしまったことですかね。私は一瞬そこもネタかと思ってしまいましたが、本当はブパパの後「賛否両論ありましたが…」というボケがあるネタだったんですね。きれいに決まっていたらまた違った結果になったんだろうな。

キャラ漫才の終着点とも言うべき、凄まじい漫才でした。今後に期待ですね。バラエティで見る機会も多そうです。


2.馬鹿よ貴方は 結果→791位・8位
「おにぎり屋」
これも独特な見た目の平井が「くまもん」と自己紹介した後、脳死について語ろうとするというダークな展開でどす黒いキャラをきっちりアピールし、お客さんをネタに引き込んでいました。
ネタとしては一般的なコント漫才で、まともにコントしようとしない平井がボケ続ける。
ツッコミがやや薄味ながら、ボケのワードセンスがヤバい方向に飛んでいるのでそこまで気にならなかったかな。
と思っていたら「大丈夫だよ」連呼には驚いた…大爆笑しましたけどね。狂気を感じさせます。
気になったのは「顔をひし形にしてやろうか」が結局何の解決もされないまま終わったこと。オチに使うと思っていたのですが…そこがうまくできていたら、強いオチになってもっと点数も伸びたと思います。

ネタ後のコメントでもウケまくっていて、「照明がまぶしくて失明してた」「スモーク臭い」と発言。
敗退コメントでも「やっとM-1らしくなってきましたね」って…独特なコンビですね本当に。


3.スーパーマラドーナ 結果→813点・5位
「女の子の部屋で落ち武者をみた」
ようやく見た目はマトモな漫才師が出てきたなぁ…と思ったら「『おいみんな、好きな者同士グループになれ』この言葉がトラウマです」っていう田中の自己紹介でグッと引き込まれました。
この田中がヤバいボケを連発していくさまは圧巻。「即死やったん?」「さっきから死んでばっかりやん」は凄まじい一言だし、ずっとパンツ被りっぱなしって狂ってるだろ!っていうね。
初めて女の子の部屋に来たっていう初々しい状況設定と川越シェフ・香川照之っていう人名の例えが身近さを生み、ヤバいだけでなく笑えるものとして捉えられるようになっていましたね。
構成もボケの田中がコントにずっと入りっぱなし、武智がそれにツッコむという珍しいパターン。コントの中だという設定上、ボケ側が一切ツッコミに反応できないという支障がありながら、それを感じさせない良い漫才でした。
ネタの最後に、前半で提示して置いた「落ち武者」と「奥歯にうんこついてまうがな」っていう2つの伏線を回収して終了。伏線回収は綺麗だったが…その分オチがさらっと感じられたかな。田中が急に武智に話しかけるってだけだし。

これまでのテレビ出演などでは武智の強気キャラが目立っていましたが、今回の漫才で一気に田中のヤバいキャラが浸透したのではないでしょうか。漫才の技術としてもすぐれたものがあったと思います。コントに入りっぱなしというのも一つの手段ですね。


4.和牛 結果→806点・6位
「結婚式を抜け出す花嫁」
いつもの屁理屈大好きキャラ水田。今回は「結婚式を抜け出して本当に好きな人に会いに行く」というシーンに対して文句を言いまくる。
関西在住の私としては今回のネタは割と見慣れたネタでした。
このネタの最大の見どころは水田の主張は一般の認識とズレているが「正論」であること。正論をボケに転化させるという意味で、このコンビは高い技術力を持っていると思います。間に細かいボケで笑わせることで、お客さんを飽きさせないようにもしています。
「結婚式は抜け出すより戻るほどが難しいねんで」とか「やっぱり、誓いますか?」とかは秀逸。
ただこのネタは客が引いてしまうという危険性を孕んでいて、今回のM-1ではまさにそのツボにはまってしまったかと。そこまでの展開をひっくりかえすポイントである「いや、好きやねんで」でお客さんが笑うでもない中途半端な反応になったのが辛いところ。やっぱり東京のお客さんには、水田の屁理屈キャラは合わないんですかね…

和牛らしさは伝わったものの、私的には優勝候補だと思っていただけにもっと上に行ってほしかったなぁ。関西では随一の有望株なだけに、来年に期待してます。


5.ジャルジャル 結果→834点・1位通過
「イントネーション」
イントネーションや言葉遣いの誤用を詰め込んでいるネタ。福徳は割と古語っぽい言葉遣いでボケ、後藤は突然の「もうええわ」や一発ギャグなど漫才の定石からずらす形でボケるWボケ。二人ともボケるのではなくあくまで「これが正しい」と思っていることがボケになってるあたりは、笑い飯を彷彿とさせます。
全てその場でツッコむのではなく、後藤の「もうええわ」や福徳のありそうでないことわざは一旦スルーしておいて終盤にまとめてツッコむことで盛り上げることにも成功していましたね。
「子どもの小便百祟り」「膝の峠越え」とかありそうでないことわざのチョイスも秀逸。
ABCお笑いグランプリで優勝してた時にもしてた自信ネタで、彼らにとってはかなりの自信作なのでしょうが…一つ引っかかるのは二人とも「漫才のネタを演じている」感が拭えないこと。初々しいと言えば聞こえはいいですが、もっと自然な会話に聞こえるようになればこのネタは飛躍的にいいネタになると思います。
審査員コメントで中川家の礼二が言ってたように、「大きなネタの枠がない」のも問題ですかね。この点は最終決戦のネタでは多少解決されていたかな。

ジャルジャルがこんな正統派なネタをするというだけで個人的には驚き。
コント師出身でコントに入らないしゃべくり漫才をして、なおかつこんなに笑ったのは初めてかもしれません。1位通過も納得の出来でした。


6.銀シャリ 結果→818点・3位通過
「料理のさしすせそ」
見た目も形式も「ザ・西の漫才師」な銀シャリ。安心できるしゃべくり漫才を今回も見せてくれました。
料理のさしすせその「そが味噌」なことがおかしい!という所からスタートするありがちなテーマながら、鰻のボケの手数の多さと橋本の熱量の高いツッコミで押し切ってくるあたり、流石。
「どしどし応募してくるなお前」「やり口がボンジョビ」「株式会社・野菜」など独創的なツッコミも技術力の高さを感じさせて、さすがですね。
ここ一年ぐらい、個人的にテレビで見ても「あれ?こんなもんだったっけ」って思うことが多く若干スランプなのかなと思って心配していましたが、今回はさすがの出来でしたね。
ただ、似たようなタイプでさらにボケの手数が多いジャルジャルの後だったこともあり、そこまで点は伸びませんでしたね。
鰻のボケにもツッコミに負けないぐらいのインパクトがあると、より伸びたのではないでしょうか。

正統派しゃべくり漫才師として、「ジャルジャルに負けてられるか」と技術力の高さを見せつけた漫才。
10年後や20年後、師匠クラスになっても漫才をしている姿が思い浮かぶのは今回の出場者では彼らぐらいではないでしょうか。


7.ハライチ 結果→788点・9位
「誘拐犯」
やはりテレビになるとノリボケ漫才の幻影に付き纏われるのでしょうか。今年の三回戦の映像をGyaoで見た時は優勝するかも?と思ったネタなのですが、本番ではスベってましたね。確かにハライチはかなり調子の波が激しいコンビですが、その中でも今日は絶不調だったのではないでしょうか。
ネタ自体はシンプルなコント漫才。「息子と息子をトレードしてイカれたゲームを始める」という岩井のブラックなボケで笑わせるはずなのですが、とにかく岩井が噛みまくってたことと澤部の調子も悪かったことでグダグダな感じになってましたね。
後半の「イカれたゲーム」の時間帯は説明不十分で置いていかれているお客さんも多かったのではないでしょうか。ハライチからここまでブラックなボケが出てくるとは予想していなかったお客さんは戸惑ったままネタが終わったように感じたのだと思います。
彼らにとっては、前半のブラックな空気が一掃されて正統派の空気になっていたのも不利でしたね。3番手4番手であればもう少しウケたネタ。

テレビ的には期待されていましたが、彼らが最下位になるというのは誰も傷つかない理想的な形。
「ノリボケ漫才」のイメージからも脱却できたでしょうし、まぁ良かったんじゃないですかね。


8.タイムマシーン3号 結果→816点・4位

「世の中のありとあらゆるものを太らせる力」
関東芸人っぽい大喜利コント漫才。
大喜利漫才ながら、テンポよく展開していったり、伏線を活用したり、勢いで畳み掛けたりと技術力の高さを感じました。今回唯一のラストイヤーなだけありますね。
全体的にセリフ選びもそつがなかった。「やってることジョイマン」っていうセリフは懐かしさも感じました。
ボケの関だけが目立ちがちな構成なのですが、back numberの清水依与吏似でお馴染みのツッコミ・山本も強いツッコミできっちり目立っていました。
そして後半の能力者展開。「太らせるVS痩せさせる」の対決はコントっぽかったですが圧巻。バカ展開なのですが見事にウケていましたね。「滅びの呪文…タニタ!」は今大会一番ウケていたフレーズではないでしょうか。
ですが、そこまでが良かっただけに最後のオチがグタグタとしてしまったのは残念。「俺たちずっとなにやってんだよ」で終わらせておいて良かったと思います。

ネタの最後をひきずったのか、ネタ後のコメントでもすべってましたね。
だからなのか、結局最終決戦にも進めず…ネタの出来で言えば今大会1、2を争うと思ったのですがね。最終決戦に勝負ネタを置いてあったとの報道もあるので、もしそれが真実でこのネタを上回るウケだったら間違いなく優勝だったでしょう。
審査員・徳井がこのコンビに9組中最下位の評価(88点)を付けているのはちょっと不可解です。ジャルジャルの96点と比べて、そんなに差があったとは思えないんですがね。


9.トレンディエンジェル(敗者復活枠) 結果→825点・2位通過
「ハロウィン・クリスマス」
敗者復活が最後の出番って本当に有利ですよね。和牛の水田も大会前に言っていましたが、このシステムは至急改善しなくてはならないと思います。
敗者復活戦もテレビで放送されていたので全てみましたが、どのコンビも小粒な仕上がり。視聴者投票じゃなければとろサーモンか東京ダイナマイトが上がっていたと思います。
トレンディエンジェルは敗者復活戦でかなりグダグダだっただけに、上がってくるとは思ってませんでしたね。すっかりテレビの人気者になったのだと実感しました。
決勝でやったネタ自体もかなりグダグタ。お客さんの熱量が半端なく、一つ一つのボケがかなりウケていたので良かったように感じますが、普段のトレンディエンジェルに比べるとイマイチな出来でした。
本筋がクリスマスなのかハロウィンなのかはっきりしてませんでしたし、どちらにせよ本筋のボケではそんなにウケていませんでした。
ウケていたのはどのネタでもやってるハゲネタと時事ネタ。ポップさと「トリプルスリー」などの分かりやすいボケで力技で押し切ってましたね。
間もテンポも焦っているかのような状態で、敗者復活の勢いがなければキンキンにすべってもおかしくない状態でしたが…。勢いで押し切ってウケてました、としか言いようがありません。

このコンビだけはウケ具合の審査だったのか、点数も高めに。「THE MANZAI」では評価されるネタだったと思いますが、M-1でこのネタを評価してよかったのか、未だに疑問です。


●最終決戦
上位3組がネタを披露。審査員が一番良かったと思う1組に投票します。

1.銀シャリ 結果→2票・2位
「騒音」
鰻の言い間違えボケを訂正していく漫才。
このテイストだと1本目のジャルジャルと比べてしまうので、イマイチに感じてしまうかな。
砂時計の最後の「スッ」で起きるとか、「ベルリンの?」とか部分部分ではかなりウケてた部分もあるんやけど、中盤までは盛り上がりに欠けたかなと思います。ありがちなテイストだけに、ずば抜けた出来じゃないと優勝はちょっとな…って思ってしまいます。
あとはもう少しネタ自体のまとまりやテーマが欲しかったかな。1個1個のボケはどれも質が悪い物ではないのですが、優勝につながりそうなキラーフレーズはなかったですね。

技術力の高さは見せてくれましたが、優勝させるにはもう一つインパクトや勢いが欲しかったところ。
実力のあるコンビなだけに、さらに上積みを作るのは難しいかもしれませんが、これ以上の進化を期待しています。


2.トレンディエンジェル 結果→6票・優勝

「モテたい」
トレンディエンジェルのネタの中でもかなりベタな展開。「モテたい」というたかしに対して、斉藤さんがモテる方法を教えていく。
THE MANZAIで優勝を逃した経験を踏まえたのか、手数の多さと勢い、ボケのシンプルさにこだわった賞レース向け・万人向けのネタ。ネタ全体のまとまりはないしボケの勢いに頼ったネタなのですが、思わず笑ってしまうだけの勢いがあったから成立している。
「クリニカ使ってます」とか「英検4級持ってます」とか身近なボケはセンスの良さを感じさせますね。
流行りのライザップにかけた「サイザップ」「ハゲザップ」の下りがウケるのは勢いのある彼らだけでしょう。
一本目に比べると出来もよく、ネタ自体の勢いもあって、まぁこれで優勝してもいいかなとは思いました。

トレンディエンジェルの普段の実力から考えると、M-1優勝という肩書きは見合ったものなのですが、やっぱり敗者復活と1本目のネタが悪かったこともあり今大会の優勝と言われると疑問を抱いてしまいます。
ただ、最終決戦の3本の中では一番よかったのではないでしょうか。


3.ジャルジャル 結果→1票・3位
「スポーツ」
一本目で礼二に言われたネタのコンセプトがないという弱点は一応解消されていましたが…全体的に一本目から考えると見劣りするネタ。これじゃ、優勝できないですよね。
一本目と全く同じ構成で、言葉遣いボケのWボケなのですが、1本目と違って独創的なボケがなかったのが残念でしたね。二人とも、一本目で言う福徳の古語っぽい言葉遣いのボケをしていましたね。
終盤の「イライライラ」とか「カリ」とか、同じパターンのボケで畳み掛けるのは勢いを生んでいましたが…もはや手遅れでしたね。これが前半に回せるぐらい強いボケがあれば良かったと思います。

一本目が爆発していただけに…
同じ構成だったから問題、なわけではなくて一本目より見劣りするネタだったことが問題なのです。
惜しかったですね…これがジャルジャルの限界ですかね。


●総評

史上最高のファーストラウンドから史上最低の最終決戦。
ファーストラウンド自体はハライチ以外どのコンビも持ち味をしっかり発揮した漫才で、次の仕事につながるのではないだろうか。そんな中でもメイプル超合金とタイムマシーン3号の2組は今年のM-1の中でもかなり上位。最終決戦にこのあたりのコンビが進出していたら、また違った大会になったと思います。
最終決戦は、3組ともイマイチな出来。あの中ではトレンディエンジェルになるのかなぁ…。

若干THE MANZAIの香りを残しつつ、M-1のあの空気も帰ってきたような気もします。
視聴率もそこそこ確保しましたし、来年も期待したいですね。

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