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世界観 / クリープハイプ (2016) ~愛しているよ 都合のいい言葉だけど~

今回レビューするのは小説「祐介」での文筆家デビューでも話題になったボーカル尾崎世界観率いるクリープハイプの
「世界観」
です!

kuri-pu.jpg

「世界観」はクリープハイプのメジャー4thフルアルバム。
既発シングル4枚4曲を含む、全14曲収録。
加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)を共同プロデュースに迎えている。

新たな音楽性と瑞々しいバンドサウンドによる原点回帰の2つの方向から、バンドが新たなステージに昇ったことを示す意欲作にして最高傑作。
14曲50分強という数字以上に濃厚な密度で届けられる、聞き応えあるアルバムです。

ひねくれたギターサウンドを軸としつつも、ジャンルレスに様々な要素を取り入れた自由度の高まった演奏が魅力的。
これまでのクリープハイプの演奏は王道に忠実な、堅実な印象が強かったが、今作では先行シングル「鬼」で見せた変化の兆しを存分に発揮するかのように、新たな要素を取り込みつつ瑞々しい新鮮さを持った演奏になっている。
特に「破花」や「鬼」、「テレビサイズ」といった曲での鬱屈とした怒りの感情をぶつけたような衝動的なギターが光ります。
ミステリアスなおどろおどろしさを感じさせる「けだものだもの」の歪んだギターとベースの絡み合いは見事ですね。
「手」「アイニー」「キャンパスライフ」といった、ドラムの疾走感の中にも後悔の雰囲気を漂わせるクリープハイプ王道の楽曲も健在です。
弾き語りのアコギでも、叩きつけるような「誰かが吐いた唾が キラキラ輝いてる」と暖かみのある「バンド」ではまるで正反対ですね。

新たなジャンルにチャレンジしているのも一つのポイント。
ラッパー・チプルソを招きバンドサウンドに乗せてラップしている「TRUE LOVE」、外部に委託した打ち込みサウンドのみで曲が進んでいく「5%」は、バンドのギターロックという枠から大きく飛び出た意欲曲。
「TRUE LOVE」の鋭いギター、「5%」の涼やかなキーボードはそれぞれの曲を印象付けています。
四畳半フォーク的な退廃的空気が漂う弾き語り曲「誰かが吐いた唾が キラキラ輝いてる」も異色。ラストに向かっていく中で、彼ららしさをみせています。
毎度恒例・アルバムに1曲のカオナシ曲「キャンパスライフ」が疾走感あるダークな曲であることも面白い。スリリングな構成はメインで書いていてもおかしくない完成度の高さですよね。

必殺メロディーがさく裂する曲が多いのは素晴らしい。瑞々しさを回復させていて、メインライター・尾崎が新鮮な状態にあるのかなと思わせます。
シングル曲はもちろん、泣きのサビメロが胸に迫る「僕は君の答えになりたいな」、起伏豊かなサビが耳に残る「アイニー」といった曲はメロディーだけで持っていける強度を持っていると思います。

アルバムの曲順も、クリープ王道を見せる1~4曲目、「鬼」から新たな挑戦を見せる5~8曲目、そして怒りの9~11曲目を経て綺麗に締めるラスト3曲へと、スムーズにバンドの状態を描いていて見事です。

文壇デビューしただけあり、以前から定評ある歌詞の巧さはさらに鋭さを増している。
「ラップにでもくるんで冷蔵庫の中へ」(「僕は君の答えになりたいな」)や「津田沼の六畳間で」(「鬼」)のようなリアリティのある生々しいフレーズを入れつつ、サビではパワーのある決めフレーズを盛り込んでくるのが流石です。
怒りの感情を振りまく「鬼」や「テレビサイズ」は特に尾崎節がさく裂している印象ですね。
アニメ主題歌ということで「次元が違う」人との恋愛を描く「アイニー」、「白紙の海泳ぐ黒い線にいつか 真っ赤な花が咲くその日まで」というパンチのあるフレーズが印象的な予備校のCM曲「破花」と、タイアップ職人としての腕も上がっています。
以前は多すぎた安易な繰り返しのフレーズも今作では適度になっていて気になりませんね。「僕は君の答えになりたいな」を繰り返すのは良いと思います。メロディーもありますし。

今作は最後に構える名曲「バンド」の存在が素晴らしい。
アコースティック調で暖かに包む曲調柔らかながら芯の感じられる良メロディー。さらに、バンドへの想いがつづられた歌詞。「消せるということはあるということ そしてまた鳴るということ いつでもすぐバンドになる」と言う歌詞にはメンバー探しにも苦労した彼らだからこその重みや魅力がこもっていると思います。
中音域でボーカルがやや掠れ気味に聞こえるのがもったいないですが、クリープハイプを語る上で欠かすことのできない1曲になったのではないでしょうか。

キラーチューン「鬼」、大名曲「バンド」を含み、クリープハイプを濃縮凝縮したような1枚。初期衝動を取り戻したようなアルバムで、今後にも更なる期待が出来そうです。
アルバムの中での流れや幅も豊かで、メロディーや演奏も良く、まさに名盤だと思います。
声が無理、なんていう人もいると思いますが、とりあえず彼らのこの時点でのすべてが詰まった一枚です。是非聞いてみてほしいですね。

個人的評価…92点

クリープハイプ
尾崎世界観(ボーカル、ギター)
小川幸慈(ギター)
長谷川カオナシ(ベース、コーラス)
小泉拓(ドラム)

収録曲 (青字…既発曲)
1.手
2.破花 (9thシングル・代々木ゼミナール『代ゼミ、合格改革。』篇CMソング)
3.アイニー (Eテレ アニメ「境界のRINNE」OP)
4.僕は君の答えになりたいな
5.鬼 (10thシングル・日テレ系ドラマ「そして、誰もいなくなった」主題歌)
6.TRUE LOVE
7.5%
8.けだものだもの
9.キャンバスライフ
10.テレビサイズ(TV Size 2’30)
11.誰かが吐いた唾が キラキラ輝いてる
12.愛の点滅 (7thシングル・映画「脳内ポイズンベリー」主題歌)
13.リバーシブルー (8thシングル・「明星 一平ちゃん 夜店の焼きそば」CMソング)
14.バンド

作詞作曲:尾崎世界観(#9除く) チプルノ(#6) 長谷川カオナシ(#9)
編曲:千葉純治(#7)

初回限定盤:短編映画・MV・メイキング収録DVD付属

収録時間 51:21
リリース 2016年9月7日
売上成績 オリコン最高3位
レーベル ユニバーサルシグマ
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95点~ 1年に1枚あるかどうかの名盤
90点~ 自信をもっておすすめできる名盤
85点~ 興味があるならぜひ聞いておくべき良盤
80点~ 聞いても損はしない良盤
75点~ 興味があるなら聞いても損はしない
70点~ 興味があるなら聞いてみても悪くはない
~70点 少し期待外れ

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